お気に入りの本屋さんがいつの間にかなくなってた・・・の巻 [文学]
正確に言えば、書店丸ごと他の経営母体に譲ったようで、本屋そのものはそっくりそのままあるのだけれど
自分の家から徒歩圏内にある大型書店は、目黒駅ビルの「有隣堂」、五反田駅前の「ブックファースト」「明屋書店(最も早く4年前に閉店)」「あおい書店(今年1月に閉店)」「あゆみBOOKS」と5店舗あったが、自分は不動前に引っ越してきてから、ずっと桜田通り沿いの「あゆみBOOKS」がお気に入りだった(たまに目黒の有隣堂)
五反田駅から家に歩いて帰るときのルートにあることも大きいけれど、あそこの本屋に流れる空気感というか、居心地の良さって、他店に比べて群を抜いていた(あくまで自分にとってだが)
そして、この店のブックカバーのデザインのセンスがとても好きだったことも、お気に入りの理由のひとつ
さて、先月末、村上春樹の「翻訳ほとんど全仕事」を仕事帰りに買って、カバーをお願いしたら、あれ、今までと全然違う、シンプルというか、なんだか味気ないデザインに変わっていて、「そっか、書店も経営が厳しい時代だから、少しでもコストを下げる努力しなくちゃなんないんだろうな」と、ちょっと残念に思い、店を出てバッグに入れる時にふと目に止まったのが「TSUTAYA BOOKS」の文字?
ふと目を見上げると、店の看板が「あゆみBOOKS」ではなく「TSUTAYA BOOKS」になっている・・・
ネットで調べると「あゆみBOOKS」は昨年末あたりから店舗を整理していて、五反田店もその対象になってしまったようであった
できる限り自分はモノは店舗で買うようにしているのに、こうしてお気に入りの店がなくなってしまうなんて、なんだか自分の力が及ばなかった気分がして、申しわけなさがつのる(HMV目黒店が閉鎖したときも、同じ心境だった)
でも、同じ今年閉店の近くの「あおい書店」が完全閉店なのに対し、こちらは店に入ってもまったく気づかなかったくらい店内は「あゆみBOOKS」の頃と変わっていなかったので、このままあの空気感を壊さないで、ツタヤに営業を続けてほしい、切に願います
なつやすみのどくしょかんそうぶん・・・の巻 [文学]
4月に出たときに買っていたけれど、厚さにビビってしばらく寝かしておいてました
フとしたきっかけでこないだ読み始めたら、一気に読み終えることができました
とってもとっても重かったけれど(本の重量が、じゃなくって、この小説の主人公がおかれている状況設定が)、めくるめく展開にのみこまれて、気付いたときにはあっという間に最後のページになってました
ジャンル的には、近未来を描いたSFだと思います
そして、次から次へとストーリーが展開するたびに主人公の状況がどんどん悪化していく内容は、安部公房が描く不条理な世界観にも通じているし、また、スティーブン・キングの長編小説の読後感にもどこか似てるような気もしました
それでもやっぱり、このお話は「純文学」だと思いました
なぜなら人間という存在の根源を描いていると思ったからです
昨今の世界情勢を思うと、この小説が描く世界がまったくのフィクションとは思えなくなっているところが、いちばん怖かったです
タグ:村上春樹
村上春樹、原発を語る・・・の巻 [文学]
ブログに書くには、超気を使うネタだね
でも、それとなく今の自分のスタンスも語っておかないとフェアではないしね
今の人類にとって、未だ完璧に制御できない「それ」を
よりによって営利企業の手に任せてしまったことは、大間違いだったとは思う
だからといって、「それ」を人類の歴史から葬り去るがごとく
「いらない」「NO MORE」「反対」とプラカードを掲げて行進できるかと言えば、
そこには、なんだかやっぱり違和感があったりする
なぜなら「知ってしまった」ことを「知らなかった」ことにはできないと思うから
もちろん、「それ」がこのままではよくないのは間違いなく確かだが、
人類が失敗から学ぶべきことは「後退」ではなく「進歩」であってほしいな
と、とりあえず私のぐだぐだ意見はこの程度で
では、春樹氏のスピーチをどうぞ
タグ:村上春樹
三島由紀夫とは・・・の巻 [文学]
三島由紀夫割腹から40年
と言うより、思い出してみても「美しい星」と「金閣寺」しか読んだ記憶がなく
その2作すら、どんな話だったのかもあやしく
しかし、あのニュース映像は強烈だった、のは覚えている
当時小学生低学年、教室にあるテレビで、あの中継を見たような記憶がある
(同じ年にあった「よど号ハイジャック」も、教室で見たような)
でも、これらの記憶は、もしかしたら後付けかもしれないような気もする・・・
なんというか、世界全体が右傾化(ナショナリズム)しつつある、きな臭い今日、
ちょっとは彼のこと、よくも悪くも振り返ってみる必要があるのかも
林檎ちゃん、よくぞこんな曲作ってたね
タグ:三島由紀夫
ウェルカムバック、りさちゃん!・・・の巻 [文学]
村上春樹以上に、君の書いた小説をず〜っと待ってたんだよ
ってのは言い過ぎかな?
17歳でデビューして、19歳で芥川賞とって、これがやっと4作目
26歳のりさちゃんの感性は、果たしてどうなってるのでしょうか?
今週末に「勝手にふるえてろ」、読ませていただきます
寡作でもいいから、これからも書くのやめないでね
今の(26歳の)りさちゃん(大人になったねえ)
タグ:綿矢りさ
泣けたよ「映画篇」・・・の巻 [文学]
ちょっと早い夏休みをとって田舎に帰ってました
(昨年亡くなった祖母の1周忌だったもので)
行き帰りの新幹線で過ごす時間は、
忙しくて読めずにいた本を一気読みできる、格好の機会
たまってた文庫4冊読んだけれど、これがダントツで良かったな〜
映画をテーマにした、連作5篇
それぞれ独立したストーリーではあるけれど、微妙なところでつながってたりする
そして、区民会館で上映される「ローマの休日」が、
それぞれの登場人物達の絆を強くするのだ
作書入魂の1作は、出だしの「太陽がいっぱい」だと思うけど、
最後の「愛の泉」が、もう泣かされるわ笑わさせるわで
日本国中にいる「おばあちゃんっ子」である我が同士よ、「愛の泉」は必読です!
(そして「Roman Holiday」の本当の意味も、これ読んで初めて知ったのでした)
タグ:映画篇
漠然と受胎されている・・・の巻 [文学]
「いまの段階で言えるのは、あの前にも物語はあるし、あのあとにも物語があるということです。その物語は僕の中に漠然とではあるけれど受胎されています」
1Q84、なんなら、ライフワークにしちゃってもいいですけど
話はとんで、
大学のとき、名画座で見た彼の処女小説「風の歌を聴け」の映画バージョン
映画自体は、致命的に風化しているけれど、
(小説はまったく風化していないけれど、)
でも80年代前半って、まあ、おおむねこんな空気感の中で生きていたような気もする
いうなれば、みんなが浮ついてるくせに理屈っぽかった、
なんだかこっぱずかしい時代だった、というわけだ
真行寺君枝が「あなたって最低よ」と言っているシーンの
バックにぼやけて写っているZEPPのポスター、
故郷の実家の私の部屋に(今でも)貼ってあるのと同じだ、ということに、ついさっき気づいた
タグ:村上春樹
4月16日、この日を待ってたよ・・・の巻 [文学]
元日の朝刊に予告広告が載ってからずっと、
いや、(ほとんどの人がそうであるように)
BOOK2を読み終わってすぐに、
今日の日を待ちに待っていた
マスコミでは、異常なまでの取り上げられ方の「1Q84」だけれど、
1980年前後から彼の著作を読み続けている我々にとってみれば、
何をいまさら
さて、今日こうして手にしたわけだけれど、
ページを開きたくない、読みたくない、って気持ちが、ふつふつと沸き上がる
なぜなら、ページを開いたら、すぐに読み終わるときがやってきてしまうからね
タグ:1Q84